■Prolouge〜プロローグ〜物語の舞台となる伝説〜プロローグを紹介します。 |
狭間の世界・ラクリマ。 しかし、いがみ合う二つの世界に挟まれたラクリマは、その誕生から常に魔界からの侵略に脅かされる宿命を担っていた。 中でも使い魔を使役し、精霊の力を引き出すエレメンタルリンカーの能力は非常に重宝がられた。 それを救ったのが大いなる使い魔リンクスを従えた伝説の精霊使い“グランデ・リンクス”であった。 こうして世界に平穏がもたらされ、早数百年……。 しかしながら、魔法だけは相変わらずの一極支配のまま。それゆえ魔法省は静かに、そして確実に腐敗への道をたどっていくのであった。 |
そんな状況の中、一人の若き魔法使い・ヘリオドールは、「魔法は一部の特権階級だけが保持するものではない」という意識から、魔力のない者でも魔法を使える“錬金術”という考えを提唱。 ところが、そうした理念が活発に議論される中、提唱者であるヘリオドールの姿がラクリマから忽然と消えてしまう。 しかし、その事件があったからこそ、逆に人々へ錬金術という思想を広く広めることとなったのは、皮肉ではあるが確固たる事実であった。 |
その事件から十数年後――。 このことは中央の魔法省にとっては驚愕の事実であった。自分たちの母校が、自分たちへ刃を向けたように感じた者もいたほどで、ひそかに錬金術科が成立しないよう裏から手を回したという噂話もある。 そして今、錬金術の才能を秘めた若者が、その渦中に飛び込んでゆく。 その彼に導かれるようにして、大いなる力も目覚めようとしているのに気づくこともなく……。 |