■Outline〜あらすじ〜

物語の冒頭部分のあらすじを紹介します。

 魔法がありふれた日常である世界・ラクリマ。そんな世界に住む主人公・ユークは、数々の伝説的な魔術師を輩出してきた伝統あるクロイゼルング魔術学院に通っている。

 ユークは魔法が使えない。

 だが、元来手先が器用でアイディア少年だった彼は、数年前に設立されたばかりの錬金科に入学するやいなや、錬金術への才能を開花させ、めきめきと頭角をあらわしていく。

 今では魔法薬の調合や魔法アイテムの制作に留まらず、魔法を銃で撃ち出す魔導錬金銃をも独自に開発するほどであった。


 それゆえ、数十年ぶりの使い魔の卵誕生のニュースであっても彼にとっては他人事であった。使い魔も、それを使役し精霊の力を借りるエレメンタルリンカーも、どこか遠い伝説の上の存在でしかなかったからである。

 しかし、そのエレメンタルリンカーの候補にユークの妹であるルチルが選ばれることで、“精霊使い”という存在が一気に身近なものとなる。妹がそれに連なる魔女の一人になれるかもと思うと、さすがのユークも沸き立つ心を抑えきれなかった。


 こうして、ユークを含むラクリマの住人たちは、使い魔の誕生の瞬間を心待ちにしていた。かつて魔界軍の侵攻をたったひとりで阻止した伝説の使い魔・リンクスの再誕もありうるかも! と。


 そんな矢先、何者かの手によって使い魔の卵が盗まれてしまう! この出来事は国家機密レベルの盗難という大事件として扱われ、秘密裏に捜索がおこなわれた。

  そんなことを知らないユークは、市場で買い物をしている最中に怪し気な男と出会う。その男、空から振ってきたかと思いきや、市場のお店を破壊し、自分も気絶してしまったのだ。


そして、傍らに転がる、見たことのない卵。それを拾い上げたユークだったが、その卵がなんと――――!!

 こうして、国家機密レベルの事件はユークにとっても重要な事件となった。なぜなら、エレメンタルリンカーの候補生である彼女たちへ課されるクエスト(試練)に、一緒に挑むことになってしまったからである。



  まだ、誰も知らない――彼とエレメンタルリンカー候補生らの運命が大きく動き出したことを。ラクリマ全体を支配する大きな運命がゆっくり動き出したことを。そして、まだ物語の序章に過ぎないことを……。